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第1回: 富士ゼロックス首都圏株式会社 神崎 賢太郎 様
 
 
1. 現在のお仕事内容を教えてください。
弊社製品をインターネットに接続頂き、お客様の利便性向上や保守業務の最適化を図るためのリモートサービスと呼ばれる戦略を推進しています。最近よく耳にするIoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)の推進といった方がわかりやすいかもしれません。
 
2. 初めてのITのお仕事は何でしたか?
ITと呼べる業務を担当したのは、1995年頃Windows95発売とともに、オフィスにPCが爆発的に導入され始めた頃です。複合機がプリンター機能を搭載し、ネットワークを介してPCと接続され、その保守業務と共に、他社製品を含むPC・ネットワーク設定や保守を提供するマルチベンダーサービスと呼ばれる業務を担当しました。
 
3. 現在のお仕事に就くまでの経験や経歴で役立ったことを教えてください。
マルチベンダーサービスを担当する前に、当時マイクロソフト社のMCP(Windows95)という資格を取得したのですが、MCP資格を社内でいち早く取得したために、当時最年少で希望していたマルチベンダーサービスに関わる新規部署に配属されました。やはり資格で客観的に知識・技術をアピールできたことが役に立ったのだと感じています。
 
4. 認定資格を取得される際、どのような勉強方法をされていますか?
まずは資格の出題範囲を確認し、用語の確認から入ります。知らない用語は徹底的に調べて理解した後に、関連の参考書籍をベースに、可能な限り実習に取り組みます。場合によっては外部の研修等に参加する事もあります。
問題丸暗記合格のペーパードライバーでは意味が無いと考えていますが、知識の定着化には繰り返し学習も効果的だと考えているので、過去・類似問題集がある場合は、通勤時間等の空き時間に実施するようにしています。
問題集で誤った箇所は再度振り返って学習することで、最終的には100%正答ができるレベルに仕上げてから受験することが多いです。
 
5. その際に、モチベーションとなった事柄があれば教えてください。
業務上、お客様や社内に、PC・ネットワーク・セキュリティ関連の説明や講師をする事が多くありました。そういった場合、資格を保有していると知識の裏付けも取れ、自信を持って説明できる事がモチベーションとなっていました。聞き手の方も信頼して聞き入れてくれていたと思っています。
また数年前は社内での資格推進制度として、受験費用+奨励金が支給されていたので、多いときは月に4つの資格を取得し多くの奨励金を手にした事もありました。
資格導入に関しては、長期的にはキャリアパスにおけるスキル条件として資格を割り当てたほうが効果的かと考えていますが、短期的な手法として、資格取得を推進したい企業様では奨励金制度なども有効ではないでしょうか?
 
6. 取得されているCompTIA認定資格を教えてください。
Network+、Security+、Server+、A+、PDI+、CDIA+ です。
 
7. CompTIA認定資格はお仕事にどのように役立ちましたか?

CompTIAの資格を取得し始めたころは、自社のCE(カスタマーエンジニア)に対しての自社製品と接続されるPC・ネットワーク等に関するテクニカルサポートをスペシャリストとして担当しておりました。
当時、私の所にエスカレーションされてくるトラブルは、高難易度かつ多岐にわたるネットワーク・セキュリティに関する問い合わせや、お客様同行対応が多かったため、ベンダーにとらわれず様々なネットワークやセキュリティに関する知識を学べたことは大変役に立ちました。
また海外本社の情報システム部門が、日本支店のネットワーク・システム管理している企業様も多くあり、そういったケースでのお客様対応においては、グローバル展開されている資格という事もあり、名刺交換の際に印刷されたCompTIA資格がトリガーとなり、こちらの要望がスムーズに伝わったこともあります。

弊社では、社内の技術検定制度の認定条件や、職層ごとの推奨資格にもCompTIA資格が必要条件として導入されており、検定制度では社内最高位の技術検定級を取得する事ができました。

 
8. 取得されているCompTIA認定資格とご自身のお仕事の関連度合いをパーセンテージで教えてください。
現在はテクニカルサポート業務から離れているので若干下がりますが、担当しているリモートサービスを進める上でネットワーク・セキュリティに関する部分では、現在も密接に関係しているので、70%といったところでしょうか?
 
9. CompTIA以外で取得している認定資格を教えてください。

既に失効しているものもあるかもしれませんが、代表的なものとしては、Microsoft MCSE、CISCO CCNA、JAGAT DTPエキスパート、日本経営協会 情報資産管理指導者(旧ファイリング指導者)電子化ファイリングA級、ファイリングデザイナー2級、日本データ通信協会 工事担任者 DD1種、デジタル1種、アナログ3種等があります。それぞれ当時担当していた業務に必要な資格を取得した結果で、決して資格マニアではありません。

 
10. 認定資格の取得前後で、給与面における変化はありましたか?
現場でエンジニアをしていたころは、技能手当として支給される資格もあり、毎月の給与に加算されていました。現在は残念ながら廃止され、技能手当的なものはありませんが、現在の職種になるためには、資格の持つ対外的な効果があったものと感じています。たとえば人事評価上同列な場合に、部門異動や次ステップに昇格するための一つの物差しとして間接的に給与へ影響した可能性はあると考えております。
 
11. 認定資格を取得したことで、仕事上でやりたいことができるようになりましたか?
前述したように資格取得がきっかけで、希望していた職種に異動する事ができました。
また、社内推奨資格にCompTIA資格を導入する際には、社内の人材育成部門から資格の評価を依頼され、CompTIA資格をいくつか取得させて頂き、社内展開する事ができました。
その際にNetwork+で満点の900点を取得した事がきっかけとなり、CompTIA日本支局の板見谷様にお声を掛けて頂いた以来、CompTIA資格の日本語版作成に携わらせていただく事になり、大変貴重な体験をさせていただいております。
 
12.今後、認定資格は「より重要」OR「重要性は低くなる」と思いますか。その理由もお聞かせください。

個人が持つスキルを明確に表す事ができる資格は、今後も重要性は高まると考えています。特に就職・転職の際は初めて会う企業の担当者に対し、資格保有している事でその分野で一定以上のスキルを持つ事を証明できるのではないでしょうか?

社会人は終身雇用が崩れてきている現在、転職の際には業務経験・実績とともに、スキルを客観的に証明できる資格はひとつの武器になるはずです。
学生は日々の活動実績+認定資格を持つ事で、より有利に就職活動を進める事ができると考えております。
また、企業においてはITに絡む情報漏洩一つで致命的な信用失墜を招くため、社員教育の一環や、対外的に取組をアピールするため、ITスキルのうち、特にセキュリティに関する資格を最低条件として導入するケースが増えるのではないでしょうか。

 
13.これからIT分野での活躍を目指す人たちにエールをお願いします。
資格取得を目指すというと、取得する事が目的となってしまっているケースが多々ありますが、あくまでも一つの指標として取得を目指してください。持っているだけでなく活用してこそのスキルです。
就職活動においては、目指している業種に関わる認定資格は保有する事で有利になります。また、活動実績をアピールする事が難しい学生において資格を保有している事で差がつくと考えています。
現在は、どの職種に就職するとしても、ITスキルは必要な時代になっています。ITスキルを磨くため、また客観的にスキルを明確化するための一つの指標(ものさし)としてCompTIA認定資格取得を目指してみては如何でしょうか?