CompTIA(コンプティア)は、IT業界団体としてワールドワイドでCompTIA認定資格などを通し、健全な人材の育成に貢献しています。


  2002年3月7日 Harris Interactiveへの依頼による調査報告
(IT apprenticeship program調査からの抜粋)

  PDFでのダウンロードはこちら
《Background》
“エントリーレベル”のIT技術者に望まれる職種の定義
【2002年11月13日 東京】

《方法論》
回答者は2つの対象から選ばれた
−Harris Interactiveの米国内のIT技術者リスト
−CompTIAの米国会員機関
総数14,334ものメール配信から、25%(3,534名)が回答。
そのうちの19%(664名)が有効回答として、調査に反映されている。
回答者の平均調査時間は、15分であった。

回答者の所属企業データ
・ 大半の回答者は、企業内でマネージャの立場にいる。(69.3%)
・ 新たにIT技術者を雇うもしくは管理する際にかなり責任を問われている。(50.2%)
・ 自身がIT技術者であり、新たにIT技術者を雇う際に、現場の声を反映していることが窺える。(59.7%)
・ 大半の回答者は従業員が1,000名以上の企業に所属している。(65%)
・ 企業内に少なくても100名以上のIT技術者がいる。(52.1%)
・ 半分以上の回答者が1億ドル(約120億円)以上の年商を持つ企業に所属している。(51.5%)
・ 企業内のIT組織は、大半は“開発”を事業内容としている。(61.3%)

エントリーレベルにおける数値データ
・ “エントリーレベル”のIT技術者が満足に仕事をするまでには、平均6.6ヶ月かかる。
・ 企業内においてIT関連で欠員があるポストは平均13.8ポストである。
・ そのうち“エントリーレベル”のIT技術者で埋められるポストは平均8.5ポストである。
・ “エントリーレベル”のIT技術者が完全に業務をマスターするためにOJTをする場合は平均7.2ヶ月かかる。
《参考》
・ 1年で外部リソースを利用したトレーニングにかける費用は、1人あたり4,568ドル(約55万円)である。
・ 1年を通して転職のために企業を離れるIT技術者の数は、平均12名である。

総 評
(1)IT企業に求められている“エントリーレベル”の技術者とは?
「“エントリーレベル”のIT技術者」という表現で恐らく日本では“基礎レベル”のIT技術者というイメージをされるかもしれない。さらにその“基礎レベル”という表現には“簡単”というニュアンスをもつ可能性がある。では、今回調査で求められた“エントリーレベル”のIT技術者に対する適当なポストは、“簡単な”ポストかというと、答えは「NO」である。
今回の調査によると、IT業界で求められる“エントリーレベル”のIT技術者には、将来企業の事業展開に貢献するためのIT実務基盤を備えることを求めていることが分かった。即ち、ヘルプデスク・PCテクニシャン(PC運用・管理担当者)・ケーブリングテクニシャン(ネットワーク工事担当者)・フィールドサポートなど、あらゆる事情や環境に対応できうる能力を求められる職種を“エントリーレベル”として挙げた。
興味深いのは、回答者のIT組織で“開発”機能をもつところが大半を占めている中、“エントリーレベル”の技術者として、ヘルプデスク・PCテクニシャン(PC運用・管理担当者)・ケーブリングテクニシャン(ネットワーク工事担当者)・フィールドサポートなどを挙げている点である。現に12ヶ月以内に雇い入れた技術者数では、ネットワークサービスやヘルプデスクテクニシャンは、プログラミング・ソフトウェア開発者の次に多い。これには2つの事が垣間見える。
・ 一言でサポートと言っても、PCに代表されるカスタマーセンターだけでなく、アプリケーションから、あらゆるシステム、社内LANやPC管理においても多くのサポート要員が必要とされている。
・ “エントリーレベル”のIT技術者としてIT実務基盤を備えた後、ITプロフェッショナルとしてコアとなる事業へのステップアップを行う。
証明となるサンプルデータとして、回答者の半分以上が企業内に1,000台以上のPCを保有しており(58.7%)、開発事業、ITサービス事業を行う企業において、企業内もしくはクライアント先で少なくても100台はメンテナンスを必要とするPCがあるとしている(45.5%)

(2)IT企業における効率的な人材輩出と研修コストの削減への提言
IT技術者が不足しているという現状は、企業にとってプロジェクトの遅延を意味し、それは多額の資金やチャンスの喪失につながる恐れがある。今回の調査結果は、その打開策としてCompTIA認定資格の活用が考えられることを示している。
 まず記さなければならないのは、今回の調査結果とCompTIA認定資格「A+」の相関関係である。CompTIA認定資格は、現在・将来必要とされる人材を効率的に輩出するためのプログラムであり、IT業界内のヒアリングから、互いにファンドを積み、互いに調査・分析し、問題作成を行う“IT業界内で作成される認定資格”である。
ここにCompTIA A+の定義を挙げると、
・ PCサービステクニシャン(サービスエンジニア、テクニカルコールセンター、フィールドサポート、インストラクターなど)に求められる知識・スキル、それらの活用能力、業務遂行のための考え方
・ 実務6ヶ月程度の技術者に求められるスキルを問えるように設計
であるが、今回の調査結果である
・ “エントリーレベル”のIT技術者が満足に仕事をするまでには、平均6.6ヶ月かかる。
・ 企業内においてIT関連で欠員があるポストは平均13.8ポスト。
・ そのうち“エントリーレベル”のIT技術者で埋められるポストは平均8.5ポスト。
・ “エントリーレベル”の技術者として、ヘルプデスク・PCテクニシャン(PC運用・管理担当者)・ケーブリングテクニシャン(ネットワーク工事担当者)・フィールドサポートを挙げている
・ 12ヶ月以内に雇い入れた技術者数では、ネットワークサービスやヘルプデスクテクニシャンは、プログラミング・ソフトウェア開発者の次に多い。
という結果を見ると、CompTIA A+がIT業界のヒアリングをした上、求められている職種、求められているスキル習熟度に合わせて設計がされ、効率的に輩出するためのものであることが証明される。
※ 調査結果の“エントリーレベル”の技術者として“ケーブリングテクニシャン”(ネットワーク工事担当者)、12ヶ月以内に雇い入れた技術者数で“ネットワークサービス”が入っていることを特記しておく。この分野においては、CompTIA Network+が大きな役割を果たすものと考える。
 上記から、CompTIA A+の活用によっては、IT企業における欠員の補充から、研修における時間的・金額的コストの削減が可能となり、良質な人材の集積が可能となることが言える。その後将来的にコア事業へのポスト配置については、企業事情や時代のニーズに合わせたスキルセットを蓄積することで、あらゆる事情や環境に対応できうる能力を持つ“使いこなせる技術者”として活躍すると考える。

(3)日本と欧米のIT基盤教育の違いによる、実務経験設定の“差”
CompTIA A+を採用している企業及び教育機関に対し以下の質問を投げた。
CompTIA A+の設定する“実務6ヶ月程度の技術者に求められるスキル”について、
経験上適当なスキル設定ですか。

この質問に大半は、「NO」であり、「実務12ヶ月程度の技術者に求められるスキル」か「特定の研修を行ってから、実務6ヶ月程度の技術者に求められるスキル」などという具体的な回答が返ってくる。
米国においては、IT実務基盤教育は高校から実施されており、現に多くのハイスクールでCompTIA A+、Network+、i-Net+を取得するためのカリキュラムが行われている。日本におけるIT教育では、大抵操作教育がなされることを考えると、欧米の場合、職に就く段階での求職者のポテンシャルとそれを生かす採用側の設定する能力が高いと考える。
日本は今後この差を埋めるべく、IT実務基盤教育に早急に着手する必要があると考える。また、これから取得を考えている受験者又は導入を検討されている企業や教育機関については、日本の現状に合わせた出題範囲内の以下の文章を理解することが必要である。
“「最低6ヶ月以上の実務経験」とは、必要な技術知識,スキル習得の訓練を受けた後、最低6ヶ月以上の実務経験を有することを指し、日本に見受けられる職務遂行前の研修期間を過ぎた後、最低6ヶ月以上の実務経験で必須である技術知識、スキル、問題解決能力を問うものです。入社後6ヶ月後を指すものではありません。”

Q:あなたは会社もしくは組織の中で現在どの立場にいらっしゃいますか。
ほとんどの回答者(69.3%)が、マネージャとして責任を負う立場にいる。
※全回答者(n=664)

Q:あなたはIT職に就く技術者を雇うもしくは管理する際にどれだけ責任を問われますか。
※全回答者(n=664)

Q:あなたはIT技術者ですか、HR(人事)ですか。
回答者の半分以上(59.7%)が、IT技術者である。
新たにIT技術者を雇う際に、現場の声を反映していることが窺える。
※全回答者(n=664)

Q:あなたの企業の従業員数はどれくらいですか。(すべての事業所含む)
回答者の65%が従業員1,000名以上の企業に所属している。
※全回答者(n=664)

Q:企業内にIT技術者はどれだけいらっしゃいますか。
回答者が所属する企業の52.1%は少なくても100名以上のIT技術者がいる。
※全回答者(n=664)

Q:企業内のIT組織を一番表現しているものを挙げてください。
回答者の61.3%が開発をメインとしている。
※全回答者(n=664)

Q:あなたの企業の2001年度年商を教えて下さい
半分以上の回答者(51.5%)が1億ドル(約120億円)以上の年商を持つ企業に所属している。
※全回答者(n=664)

Q:あなたの企業におけるPC(ノートPC含む)の総数を教えて下さい。
58.7%が企業内に少なくとも1,000台のPCを保有している。
※全回答者(n=664)

Q:あなたの企業内かもしくはクライアント先で
  メンテナンスの責任があるPCの台数はどれくらいですか。
45.5%の回答者は、企業内もしくはクライアント先で100台以上のPCをメンテナンスする責任があるとしている。
※IT開発もしくはITサービスに属している方の回答(n=462)

Q:あなたの経験を基に、“エントリーレベル”のIT技術者が
  一人前に達するまでにはどれくらいかかりますか。
“エントリーレベル”のIT技術者が満足な仕事をするまでには、平均して6.6ヶ月かかると見ている。
(500名未満の企業平均は約6.1ヶ月、500名以上の企業は約6.7ヶ月かかると見ている)

Q:1年で、外部リソースを利用したトレーニングに
  1人あたりどれくらいの費用をかけていますか。
平均して1年で外部リソースを利用したトレーニングに1人あたり4,568ドルかけている。
(500名未満の企業平均は4,325ドル、500名以上の企業平均は4,623ドル)

Q:平均して、“エントリーレベル”のIT技術者が完全に業務を
  マスターするためにOJTの場合は、どれくらい必要ですか。
“エントリーレベル”のIT技術者が完全に業務をマスターするためのOJTには、平均7.2ヶ月かけている。
(500名未満の企業平均は6.7ヶ月、500名以上の企業平均は7.3ヶ月)

Q:現在、あなたの組織で欠員のポストはいくつありますか。
回答者の組織の中で、現在欠員のポストは平均13.8ある。
(500名未満の企業平均は4.1、500名以上の企業平均は16.2)

Q:欠員のポストの中で“エントリーレベル”のIT技術者で
  埋められるポストはいくつありますか。
欠員ポストのうち、“エントリーレベル”のIT技術者で埋められるポストは平均8.5ポスト
(500名未満の企業の平均は3.0ポスト。一方500名以上の企業平均は9.8ポスト)

Q:転職のために、あなたの企業を離れる技術者の数は、
  1年間で大体どれくらいいらっしゃいますか。
平均して、1年間に12名のIT技術者が転職のために企業を離れる。
(500名未満の企業の平均は6.5人。一方500名以上の企業平均は13.3人)
大多数は1年に1〜5人企業を離れる。

Q:あなたの企業はここ12ヶ月の間、どの分野に
  どれくらいスタッフを費やしていますか。
上記は、回答者の平均値(人)である。
プログラミング/ソフト開発、ネットワークサービス/オペレーション、
ヘルプデスクが多くのスタッフを費やしている。

Q:あなたの組織内で、“エントリーレベル”のIT技術者の
  ITポジションはどちらですか。(複数回答可)
ヘルプデスク テクニシャン(54.4%)
PCオペレーター(52.3%)
PCテクニシャン(PCの運用・管理担当者)(47.6%)
ケーブリングテクニシャン(ネットワーク工事担当者)(35.2%)
フィールドサポートテクニシャン(25.8%)
LANテクニシャン(22.3%)
ネットワークサポートテクニシャン(19.1%)
ハードウェアインストールコーディネータ(16.1%)
プログラマー/アナリスト(16.0%)
設定/アセンブリーテクニシャン(13.6%)
データベースソフトウェアテクニシャン(12.2%)
テクニカルライター(11.6%)
以上が10%以上の職務
 
《参考》
インターネットサイトデザイナー(8.0%)
Webデザイナー(8.0%)
ネットワークアドミニストレータ(5.7%)
データベーススペシャリスト(4.5%)
eコマーススペシャリスト(2.1%)
セキュリティスぺシャリスト(1.8%)

“エントリーレベル”のIT技術者のITポジションとして、
ヘルプデスク・PCオペレータ・PCの運用・管理担当者・ネットワーク工事担当者
を考えている結果がでた。

(以上)
 
−CompTIAとは−
 CompTIAは、1万社以上の会員企業を持つIT系の非営利グローバル業界組織。米国のほか、カナダ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、東京などに拠点を持つ。e-ビジネスやテレコム技術の世界標準化活動のほか、必要とされる即戦力のIT技術者養成のため、ベンダー中立のIT系資格試験を全世界的に展開している。多くの政府が認定しているほか、受験者への財政補助などを行っている。IT資格としてはMicrosoftについで世界2位の規模。

−CompTIA認定資格とは−
 業界内で求められる実務上必要とされるITスキルを、CompTIAと業界内で構成される調査委員会が調査・分析し、コーナーストーンと呼ばれるIBMやCompaqなど20社前後の会員企業で作られる試験作成委員会が問題を提案・作成。それぞれの業務の基盤となる「知識・スキル、その活用能力・業務での考え方」で構成される。現在「A+」をはじめ9分野の認定資格があり、内5分野が日本語受験可能。

【お問い合わせ先】
CompTIA日本支局 http://www.comptia.jp
〒101-0061 東京都千代田区三崎町3-4-9 水道橋MSビル7F
TEL:03-5226-5345 FAX:03-5226-0970
E-Mail:[email protected]
担当:広報

 




 

 



 
 
 

 

 

 
 

 
 
 資料・パンフレットダウンロード
 CompTIAライブラリー
 

 


 
 

 

CompTIA Japan Instagram

  友だち追加数
 


CompTIA 日本支局 住所:〒101-0061 東京都千代田区三崎町3-4-9 水道橋MSビル7F TEL:03-5226-5345 FAX:03-5226-0970