マネージドテクノロジーサービスを提供する企業は、今後2年間において高い収益を見込んでいることがCompTIAの調査で明らかになった。
しかし、そうした楽観的な見方は、クラウドコンピューティングソリューションが独占する市場における彼らの役割に対する懸念や、従業員のリテンションといった根強い問題によって相殺されることとなる。
CompTIAでは、400の米国マネージドサービスプロバイダ(MSP:Management Services
Provider)を対象に「第5回マネージドサービスの動向」調査を実施。この調査では、今日のマネージドサービスの慣行をデータ化し、内部オペレーションと外部戦略の両面を分析している。
「ビジネスの状態に関しては、MSPは非常に高いレベルの自信を示しています。」CompTIAのインダストリアナリストのシニアディレクタであるAprilは言う。「私どもの調査では3分の2の企業が、自社をマネージドサービスに熟練したエキスパートであるという評価をしています。」
こうした自信は、市場の成熟にも起因する。実際に企業の90%近くが、テクノロジーサービスを2年以上提供している。また、収益の成長も要因とされる。10社中3社は、自社のサービス事業は過去1年間において主要な収入源であったと回答している。MSPの半数は、サービス事業が総収益の75パーセント以上を占めることから、今後2年間において大きな収益の伸びを予測している。
しかし、こうした上向き傾向も利益率の低下という懸念により、抑えられていることが分かった。実に企業の過半数が、利益率の低下を懸念事項としてあげている。
「当然ながら、市場のコモデティ化が利益率低下の一部原因となります。しかし、価格面だけで他者と競争を続ける多くのMSPにも一因があるといるでしょう。」Aprilは言う。
MSPの懸念事項として上位にあがったのは、クラウドコンピューティングであった(62%)
「彼らはまだクラウドが(自社にとって)味方なのか敵なのか判断ができていません。彼らは、顧客がMSPをバイパスし、基本的なニーズとしてクラウドプロバイダーに傾くことを恐れているかもしれません。」Aprilは述べる。
MSPの54パーセントは、自社ビジネスの戦略の一環としてクラウドベースのソリューションやサービスを提供している。他の44パーセントは、顧客からのリクエストがある場合にクラウドサービスをサポートしている。
Aprilは、多くのMSPが顧客のオーケストラ的な立場になれる機会を逃していると指摘する。「彼らが、オンプレミスデバイスやアプリケーションの遠隔管理をするのと同じように、顧客がクラウドに持つものを管理することが可能なのです。それは、MSPにとって自然な立場といえるでしょう。」
MSPはまた、従業員のリテンションという根強い問題を食い止めるための努力はしなければなりません。企業の大半は、この1年間で少なくとも一人の技術者を、エンドユーザー企業に失っているという。
「辞めていく従業員は大抵、より安定した就業時間、より良い賃金、また単純なモニタリング業務よりチャレンジングな仕事を求めています。これはMSPが取り組まなければならない問題です。」Aprilは言う。
CompTIAの第5回マネージドサービスの動向調査は、2016年3月に400のUS MSPを対象に実施されたオンラインサーベイがもととなる。完全な調査は、CompTIAメンバーに利用が可能。
|