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情報サービスマネジメント下における人材育成とは
第1回コラム:「統制環境下におけるIT全般統制とITサービスマネジメントの関係」
筆者紹介:
株式会社 IPイノベーションズ ITナレッジソリューション事業部 事業部長 黒崎 寛之 氏

某アウトソーシング企業にてデーターセンター運営責任者、ITアウトソーシング事業責任者を経て、 現在は蟹Pイノベーションズにて、システム運用設計、ITIL実装、ISO/IEC20000認証取得に関するシニアコンサルタントとして活動中。
またコンサルティグの中で顧客企業のITサービスマネジメント活動を担う人材の育成教育の講師なども担当。
株式会社 IPイノベーションズについてはこちらからご覧ください。)

 

近年の企業の事業活動において、2001年に米国で発生したエンロンの不正会計事件をきっかけに、日本国内においては個人情報保護法の施行や企業の内部統制への取り組みも活発になっています。
企業の情報管理に関する責任や不祥事を未然に防ぐための活動に関する法規制が厳しさを増し、不正を未然に防ぐための活動、すなわち内部統制の整備及びその活動の有効性の評価と証明が義務付けられました。皆様ご存知の通り、今やITは『新たなビジネスモデルや市場そのものを生み出すツール』という位置づけへと変化し企業の事業活動においてITは欠かせないものとなっています。当然のことながら企業の財務・会計に係る処理はITにより実現されていますし、日本版の内部統制の基本的枠組みにおいても、目的に「資産の保全」、基本的要素に「ITへの対応」が追加され、情報資産の管理、そしてITサービスの正当性が強く意識されています。このことからITに関する統制活動の必要性が高まるのはご理解いただけると思います。

では、ITに関する統制活動に関して、ITサービスを提供する組織としてどのように取り組めば良いのか、具体的にどのような統制活動を行えば良いのか迷われている方々も少なくないはずです。このような悩みを解決する手段として今、ITサービスマネジメントが注目され始めています。

ここでITサービスマネジメントについて簡単にご説明しておきます。ITサービスマネジメントとは、ITサービスを提供する企業または組織が顧客ニーズとビジネス要求に合致したITサービスの提供を実現し、かつ、その品質の継続的な改善を実現するための仕組みを構築することです。
また、ITサービスマネジメントは、プロセスアプローチの採用を推奨し、ITサービスを効果的に提供するための枠組みであり、組織におけるITサービスマネジメントプロセスが効果的かどうかを評価するための仕組みでもあります。


図1 ITサービスマネジメントの全体像
図1に示す通り、ITサービスマネジメントを5つの階層で整理することができます。ISO/IEC20000はITサービスマネジメントのルールを定めた国際規格であり、PDCAサイクルを実現するためのマネジメントシステムを中心に言及している規程書です。ITILはITサービスマネジメントを実行するためのベストプラクティス(成功事例)をまとめた7つの書籍から構成される書籍群です。
そして、ITILの中心となるのがサービスサポートとサービスデリバリーであり、図2に示す、10のプロセスと1つの機能から構成されています。

図2 ITILの主要プロセス

ITILの個々のプロセス内容は特に解説しませんが、ITILの各プロセスの活動内容が企業の統制活動の4つの目的の実現に深く関与します。例えば、1つ目の目的である『業務の有効性及び効率性』は、そもそもITサービスマネジメントの目的と合致します。2つ目の目的である『財務報告の信頼性』を確保する手段として、ITサービスマネジメントのインシデント管理、問題管理、そして情報セキュリティ管理が深く関連します。そして3つ目の目的である『法令等の遵守』は、キャパシティ管理が活用できますし、4つ目の目的である『資産の保全』は、構成管理、変更管理、リリース管理が有効だと考えています。これらのプロセス以外にも、可用性管理やITサービス継続性管理などのプロセスも企業の統制活動と密接に関係し、その効果を発揮します。

一般的にITに対する内部統制活動のフレームワークとしてCOBIT(Control Objectives for Information and Technology)が広く知られていますが個人的意見として、COBITはITマネジメントの成熟度を評価する際に利用する評価指標としての色合いが強く、具体的な活動指針として採用することは少々難しいと考えています。ですからITに関する内部統制活動のフレームワーク構築の際には、ITILやISO/IEC20000といったITサービスマネジメントの採用を推奨しています。
なぜ、ITサービスマネジメントがITに関する内部統制活動に有効なのかは、ITILのサービスサポートとサービスデリバリーの書籍より各プロセスの役割をご理解いただければ、その理由が分かるはずです。

 
次回掲載 : 9月下旬掲載予定

第5回コラム:「内部統制における運用(人・プロセス・プロダクト・パートナーの活用)の重要性」
   株式会社 IPイノベーションズ ITナレッジソリューション事業部
    事業部長 黒崎 寛之 氏
某アウトソーシング企業にてデーターセンター運営責任者、ITアウトソーシング事業責任者を経て、 現在は蟹Pイノベーションズにて、システム運用設計、ITIL実装、ISO/IEC20000認証取得に関する
シニアコンサルタントとして活動中。
またコンサルティグの中で顧客企業のITサービスマネジメント活動を担う人材の育成教育の講師なども担当。
 


 

 



 
 
 

 

 

 
 

 
 
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