CompTIA(コンプティア)は、IT業界団体としてワールドワイドでCompTIA認定資格などを通し、健全な人材の育成に貢献しています。

ここでは、CompTIA認定資格のコンセプトにご賛同され、IT技術者の人材育成において利用をされている企業・学校機関・団体等をご紹介致します。
image 第1回 国際協力事業団の青年海外協力隊事業 image
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第一回目である今回は、国際協力事業団の青年海外協力隊事業でエルサルヴァドル共和国に派遣されている佐藤和雄さんにお話を聞きます。青年海外協力隊事業は、開発途上地域の住民と一体となって当該地域の経済及び社会の発展に協力することを目的とする海外での青年の活動を促進し、及び助長する事業です。佐藤さんは平成12年度の2次隊として派遣されていらっしゃいまして、現地のSE技術者育成で「A+」のトレーニングを開始していらっしゃいます。
−今回の派遣目的とエルサルヴァドルのIT事情を教えてください。
派遣先は日本でいう工業高校で、そこで先生と学生を対象にコンピュータ関係のエンジニアに必要な技術を移転することが目的です。エルサルヴァドルは中米の小国で、目立った観光地や資源が出るわけではないので、日本のように技術立国を目指しているところがあります。そのため、IT関係に、少しずつですが力を入れているようです。

−現地のインフラは如何ですか。
インターネットの無料接続サービスがあり、ケーブルTVを介した常時接続サービスが存在します。
パソコンショップのようなものが、目に見えて増えてきており、また先進国で使われなくなったような二世代ほど前(PentiumII)のパソコンが、500ドル以下で売られています。ですが、まだまだ国は貧しく、各家庭でパソコンを見ることはまれで、まして地方でパソコンを見ることはほとんどないですね。僕の生徒でも大半は学校で初めてパソコンに触れた子たちばかりです。しかし、小国ゆえに少しの投資でインフラが整えられると思うので、このような少しずつの変化は、ITに関連した大きな発展につながると期待できます。

−何故「A+」を取得目標にしたトレーニングを考えられたのですか?
私の教えている生徒たちは、卒業後ただちに現場につくような子達です。それに、設備等の理由から、コンピュータを教えられるクラスは電子科の3年生クラス30人未満の規模で、1年でのトレーニング期間の制約もあり、無駄なことは教えていられないという事情があります。ですので、短期間に現場で有用な確かな技術を持ったエンジニアを養成する必要があります。
確かな技術者を育てようと思った時に、各個人の技術力の到達点を設定するのがいいのではないかと考えました。私自身資格をいくつか取得していますが、ちょうど日本で「A+」の試験が始まる話を聞き、6ヶ月程度の実務経験者のスキルを証明する試験であることを知りまして、諸条件を考えてもいい到達点ではないかと考えました。
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−現地での「A+」の関心度は如何でしょうか。
現地のコンピュータエンジニアを目指す方にお会いした際、「A+」の話題になりました。彼の話では、現地の技術者は米国で「A+」を受験し、米国での就職や昇給に役立てているそうです。他にも幾人かに聞いたところでは、取得が就業条件とされていたり、ちょっと大げさですが時間給で18ドル以上もらっていると聞いたことがあります。それが本当の話であれば、そのような確かな資格を前提に技術者の育成を行えば、来るべきITにかかわる発展に大いに貢献できるのではないかと考えています。

−佐藤さんご自身の経験と現場レベルで必要なスキルと何か違いはありますか?
私は高校から約12年程コンピュータについて勉強していまして、大学では工学部で情報関係を専攻していました。しかしことパソコンの事となると全く分からないといった状況で、ここ数年だけの勉強だけでなんとか活動している状態です。先程「現場で有用な確かな技術を持ったエンジニアを養成する必要」を謳いましたがと、12年も勉強して現場で足手まとい状態の自分を揶揄している部分があります。

−IT技術者の育成を考えた場合の佐藤さんのご意見をお聞かせ下さい。
今感じているのは初期の学習段階で「A+」の出題範囲のように、ハードとソフトを勉強することは、技術者にとって近道かもしれないということです。私は高校ではハードよりに、大学ではソフトよりに勉強をしていましたが、そのおかげか、両方の知識が補い合うように私の技術取得を助けてくれたと思います。技術を深めるためには、二兎追う事は出来ませんが、切り離せるものではないと思います。ですので、初期の段階で両方を関連付けて勉強することが最良だと思います。

−情報収集はどのようにされていらっしゃいますか?
最初はインターネットでの収集でしたが、初期のころは日本語のサイトも設立されていなかったので、
もっぱら英語との格闘でした。参考文献も英語ばかりでしたが、いろいろな情報を元に、「ALL IN ONE A+ Certification EXAMIN GUIDE」という本を入手しA+についての詳しい情報を得ました。現在はTACさんから市販されている「A+」の教材を提供して頂くことになっており、それらを活用していきたいと考えています。

−できましたら、カリキュラムを少し教えてください。
当初のカリキュラム構想と、私が派遣される前とはあまり変わってはいません。A+の内容は、スムーズに私の頭の中に入ってきたように、多くの人が理想と思っていた知識の集大成と思います。ですので、以前のカリキュラム構想とも大きく外れているわけではないのです。コンピュータの組み立て、分解等はすでにやっています。
ですが、教えていることがなかなかしっくりこない。「A+」は入門レベルの技術者に必要な知識を網羅している。そういう部分を活用して、カリキュラムを見直し、当初のふわっとした構想から「A+」のトレーニングというか、「A+」の考えをカリキュラムの中に組み込んでいく作業をしています。
具体的には、出来るだけ短時間に有用な事柄を教えたいために、同僚にA+の試験範囲をスペイン語に翻訳して渡し、これらに出てきている事柄は教え、出てきていないところはできるだけ正規には教えないようにしようと話し合いました。
今、上記の参考文献が大事になっています。いままでは理論や実習がばらばらで互いに連携が取れていなかったと思います。実習中に「どうしてそうなるの?」との質問から理論の説明が始まりますが、質問が出てくるときはシメたものですが、そのまま流される生徒が多くて、せっかくの学習チャンスを逃していた気がします。この参考文献を参考に、「零れ落ちたものを拾い上げていきたい。」と考えています。
このように効率よく授業を進められるようにと考えていますが、なかなか難しく、まだまだこれからといった感じです。

−佐藤さん自身何か興味のある他の資格はありますか?
A+の話をしているからというわけではないですが、上位試験のNetwork+などの試験に興味があります。ただ、資格でスキルアップとの考えは少なく、これからどういった知識や技術が必要なのかを知るため、といった指導をする側に立った意味合いが強いです。そういうことを知るためにも、絶えず更新を繰り返しているCompTIAさんの試験は魅力的ですね。

−ありがとうございました。体に気をつけてくださいね。


国が違っていてもITを使いこなす人を育てる際、「現場で有用な確かな技術を持ったエンジニアを養成する」ためにトレーニング材料とされた「A+」の存在価値はとても大きいのではないかと感じています。今年からすでに雇用・能力開発機構の各センターで民間の教育機関に委託されて実施される「緊急再就職等訓練」で「A+」をはじめとするCompTIA認定資格を目標としたトレーニングが行われていたり、各学校機関でもトレーニングが始まっています。取得者の今後のご活躍を期待せずにはいられません。
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