今回は、CompTIA認定資格を含めた、IT資格の活用ルールについて書きます。
ITの仕事は、会計士や調理師のような免許制ではありません。恐らくITに関連する資格は真面目に数えれば500や1,000はざらにあります。それは様々な職種や技術、サービス、製品など、ある役割にあわせて資格が開発されているためです。
つまり、それぞれのIT資格にはそれぞれ役割があり、オンリーワンです。
そのため「特定の資格が万能なわけではない」ので、なりたい自分、求める能力、求める人材像に近づけるためには、その目的に正しく紐づく資格を選択してこそ、役に立ちます。
よく試験に合格することが努力の証明とする人事の方をお見受けますが、IT資格の役割とは異なります。
重要なのは、皆さんの目的に紐づく資格を選んでいるかどうか、です。そして、ここも重要ですが、実践できるだけの時間と環境があるかどうかです。取得して、何もその能力を使わなければ、役に立ちません。
では、500、1000あるIT資格の中でCompTIA認定資格はどのような役割を担い、オンリーワンなのでしょうか。CompTIA認定資格の役割は、一言でいうと『仕事の一人前の基準』です。この役割において、オンリーワンです。
その基準は公正に従業員の力量を評価する開発手順であるISO17024の認証を得て、もしくは準拠して作られます。グローバルで募ったエキスパートで構成されるワーキンググループが中心となり、職務分析調査を基に、その業務の「一人前の基準」のドラフトが作られ、様々な工程を経て、客観的でセキュアで、公正な資格として、全世界に受け入れられています。ベンダーや製品に依存せず、あくまで業務としての「一人前の基準」を客観的に、公正に、セキュアに評価します。
「一人前の基準」は、新卒から考えた経験値を問うのではありません。各「業務」での「一人前の基準」です。例えば、CompTIA Network+の場合は、ネットワークの設計、構築、運用業務を9~12ヶ月程度の業務経験が一人前として設計されていますが、新卒から考えて9~12ヶ月ではありません。CASP+(CompTIA Advanced Security Practitioner+)は、エンタープライズセキュリティアーキテクチャのための一人前の基準です。IT全般の管理者として10年以上の経験、そのうち5年以上をセキュリティに関連する実務に携わるエンジニアの方を「一人前」として、設計しています。
皆さんのゴールが、川の向こう岸にある場合、1つのIT資格だけで橋が架かることはほとんどありません。様々な役割を持つ各IT資格が、着実に向こう岸へ辿り着くための「飛び石」のように、皆さんをサポートします。
各企業の導入事例を参照いただき、「一人前の基準」の活用方法を確認下さい。そして、各IT資格との組み合わせを参照下さい。
≪企業導入事例≫
https://www.comptia.jp/merit/company_casestudy/
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