デジタル経済におけるデータの重要性については、多くのことが語られてきました。
デジタルデータは何十年も前から存在していますが、人工知能(AI)、予測分析、カスタマーパーソナライゼーション(顧客の個別化)の時代において優先事項とされています。データは、ビジネスの「新しい通貨」や「新しい石油」と呼ばれ、これは業務構造全体を支えるほどの大きな資産です。しかし、データ価値が認められているにもかかわらず、企業はデータの規律やスキルを構築する初期段階にあります。
今日のビジネスにとってデータがそれほど重要なのはなぜなのでしょうか?簡単に言えば、データ管理が不十分であったり、データ分析が不十分であったりすると、収益に影響が出てしまうということです。
組織はデータを収集してきましたが、包括的な運用アプローチがなく、必要なスキルの確保ができていません。インテリジェンスを伴わないデータ氾濫とも言えます。ほとんどの企業はすべての部門にデータサイロがあり、企業データの全体像を把握することができません。データは、ソーシャルメディアやスマートデバイスなどの新しいソースからストリーミングされていますが、このデータを経営判断に結び付けるための仕組みがありません。歴史的な記録が豊富にあるものの、これらを将来プランのため使うための専門知識が明らかに不足しています。
CompTIAのレポート「Functional IT Framework」では、エンタープライズテクノロジーの4つの柱、つまり企業が組織全体で独立した機能として管理しているIT領域について説明しています。
最も基本的な柱はインフラストラクチャで、システムをホストし、従業員をつなぐ物理的(またはバーチャル)ハードウェアコンポーネントです。この基盤の上に、機能を提供するアプリケーションを構築するのがソフトウェア開発です。これら二つの分野には、何十年にもわたって明確なスキル要件と運用プロセスがありました。
データはこれら4つの柱の中で最も若いものですが、急速に成長しています。業界では、初めての最高データ責任者(CDO)が任命されたのは2002年だと言われており、NewVantage Partnersによる2018年の調査では、CDOを採用している企業の数は2012年の12%から、62.5%に達したとしています。
データサイエンスは、テクノロジー分野で最も注目される話題の一つですが、ビッグデータ流行の最中に生まれて間もないものでもあります。企業がネットワークエンジニアやサーバー管理者のように、「データサイエンス」に匹敵する役割は少し前にはなかったのです。
すべてのデータスキルがIT部門に集中している場合でも、複数のビジネスユニットに分散している場合でも、企業はデータチームの設立に向けて歩みを進めています。データチームの概念は比較的新しいものです。CISOは1990年代半ばに、CDOは2000年代初めに誕生したことを考えると、データチームがセキュリティチームに遅れをとっているのも納得できます。データ管理やデータ分析に特化した社員を社内に置いていると回答した企業は、全体の44%に過ぎません。すでに専任の社員を抱えている企業でも、新しいビジネス価値を生み出す分析に関するスキルを身につけたいというニーズは依然として高いことがわかっています。
企業が改善を求めているデータ機能の分野を考えると、明確な優先順位があります。それは、アナリティクス機能の向上です。データ管理やデータベース管理(検索機能やリモートデータアクセス)に関連する改善も求められますが、要望の大半は分析能力の向上にあります。分析のスピードアップ、特定のビジネス活動に対する分析の適用、顧客行動のパターンの発見などは、データアナリストが業務や意思決定の改善のために解決することができる課題の例です。
データ機能が比較的目新しいことから、企業はエントリーレベルのポジションを強く求めているのではないかと思われます。しかし、実際はそうではありません。事実、2021年に採用を予定している企業は、他のどの分野よりも中堅のデータスペシャリストを求めています。その理由の一つは、データやサイバーセキュリティという新興テクノロジー分野のチームは、既存のソフトウェアやインフラのチームから作られることが多いからです。しかし、専門的スキルに対する需要の高さは、簡単に解決できないパイプラインの問題を示しています。
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