米国本部ブログ: Trends to Watch: Data Management and Analytics
組織は、パンデミック後の環境においてIT戦略を構築するなかで、これまでのデジタルトランスフォーメーションの取り組みでは完全に解決されなかった多くの問題をあらためて議論しています。
● クラウドシステムを活用して堅牢なインフラを構築するにはどうすればよいか?
● 現代の脅威に直面した場合の適切なサイバーセキュリティアプローチとは何か?
● 企業データからどのような新しい知見が得られるのか?
これらの問題は、ビジネスの技術的な部分とオペレーション的な部分の両方から相当の努力を必要としますが、データの「管理」と「分析」は、おそらく最も解決困難な問題です。ほとんどの企業にとって、本格的なデータ活用は比較的最近の出来事であることが理由です。コンピュータを使い始めてからずっと、企業はデジタルデータを生成してきましたが、現在あるいは今後の活動を目的とした最適化は行ってこなかったのです。
データの最大限の活用:課題
データに関して多くの企業が直面している状況は、インテリジェンスの伴わない膨大なデータです。ほとんどの企業では、各部門にデータのサイロがあり、データ全体を把握することができません。ソーシャルメディアやスマートデバイスなどの新たなソースからデータは流れ込むものの、このデータをビジネスの意思決定に反映させる仕組みがないのです。過去の記録は豊富にあっても、それをもとにオペレーションを理解し、ビジネスプランを立てるノウハウは明らかに不足しています。
多くのテクノロジートレンドと同様に、データを最優先事項として認識するだけでは、能力は向上しません。事実、こうした状況では、挽回の必要性に気づいた企業は一歩後退してしまうこともよくあります。
CompTIAの最新データでは、データの管理と分析に関して「必要なレベルに達している」とする企業は、わずか4分の1にとどまります。この数字は、過去3年間はほぼ改善されていないばかりか、データプラクティス(実務)の構築に伴う課題を考えると、さらに低下する可能性があります。
企業が現在直面している、または今後直面するであろう課題には、目標と現実の乖離を見ることができます。最も多く挙げられている課題は、「データ分析の迅速化」ですが、「適切なネットワークアーキテクチャの構築」に関心を持つ企業はさほど多くありません。また、次に挙がった課題は「複数のデータセットの統合」ですが、「適切なストレージアーキテクチャの構築」の優先順位は低くなっています。
このようなズレを解決するには、現代のデータ戦略を正確に理解する必要があります。データ分析やデータサイエンスに大きな注目が集まっていることから、企業は未活用のデータから隠れた洞察を見出そうと躍起になっています。しかし、データを活用し、そこから洞察を引き出すには、構造化されたデータ管理のアプローチがベースになくてはなりません。
また、データ活動は、広範な戦略的ITの1つとされますが、数十年にわたりITを定義してきた戦術的アプローチと異なるマインドセットであることから、多くの企業がその理解に苦労しているようです。データ管理と分析は、特定の目的のためのポイントツールではなく、包括的なプログラムとして扱われるべきなのです。
膨大なデータセットから最も高い価値を引き出し、リアルタイムの分析を実現するために、組織はデータスキルに注目する必要があります。より多くの企業が、データを利用して社内業務を改善し、顧客をより深く理解するようになれば、スキルはアップデートされ、データの成功を後押しすることになります。そのようなスキルは、レジリエントなデータアーキテクチャの構築から、データ分析の迅速化、新たな洞察のためのデータマイニングまで、さまざまなビジネス上の問題に対応することができます。つまり、ビジネスの「新しい通貨」には、ステークホルダーのために価値を引き出すことができる新たなスペシャリストが必要なのです。
データを最大限に活用する:データフローの理解
データ活用の作業には、3つのステージがあります。まず、データが生成されます。これは、顧客とのやり取り、社内のビジネスシステム、外部パートナーといった、さまざまなソースから発生します。ここでは、データの取得以外に専門家は必要ありません。データは、通常の業務やマーケティング活動の副産物に過ぎません。
第1ステージでデータが収集された後、第2ステージの処理と整理に移行します。このステージで初めて、データスキルが発揮されます。データは、ある種の構成に置かれ、将来的な利用のために操作されます。構成の種類は、企業によって異なります。シンプルなスプレッドシートを使う企業もあれば、リレーショナルデータベースや、ビッグデータツール、マルチクラウドストレージを使う企業もあります。
データ操作とデータ分析の境界は曖昧ですが、データ処理の最終目標は意思決定者に有益な洞察を提供することです。これらのスキルセットは、注目度と需要ともに高いものですが、データセットに対する構造化されたアプローチなしには活かすことはできません。
そのようなスペシャリストには、技術的な要素が強く含まれます。彼らは、PythonやJavaScriptを使ったスクリプティング、機械学習アルゴリズムの使用、ソフトウェアを使ったビジュアライゼーションの作成をすることもあります。加えて、ビジネス的な要素も含まれます。ビジネスがどのように営まれているか、どのような課題が最優先されるべきかを理解する必要があります。
企業は、データをセキュアに保つという全体的な取り組みを含め、あらゆる領域でデータスキルを向上させる必要があると明確に認識しています。また僅差で、より高度な課題に取り組む前に、インフラストラクチャやデータベース管理といった基本的なスキルの必要性も認識していることがわかります。しかし、注目すべき点は、これらのスキルは組織内にすでに存在する可能性が高いことから、改善の糸口があるということです。
一方で、データアナリストは不足しています。4年制の学位プログラムや職業訓練など、スキルを持った人材を創出する従来のシステムの多くは、よりデータドリブン型のビジネスへの移行に追いついていません。そうしたことから、組織はこの領域におけるスキル人材の確保に奔走し、競合他社が優位に立つ前に、データの中に埋もれた「宝」を見つけようとしているのです。
データを最大限に活用する:データスキルの向上
データスキルのギャップ(不足)を埋めようとする企業にとって、人材の採用が上位に挙がるのは当然でしょう。ここから、スキルギャップに対する認識と投資意欲をみることができます。
また、企業がデータチームというモデルに移行している可能性も示しています。このパターンは、サイバーセキュリティがITインフラから独立した機能になった際にもあったことで、データの取り組みを報告体制のなかで行うことで、組織全体におけるデータの取り扱いを標準化することができます。
採用の意思があっても、人材確保とならない理由のひとつに、人材不足が挙げられます。供給が限られ、ワークフォースの力学が変わるなか、企業はデータニーズだけでなく、その他のスキルギャップについても別の選択肢を検討しています。
トレーニングは、ITスタッフを抱える組織にとって2番目に最適な選択肢です。インフラストラクチャスペシャリストや、ソフトウェア開発者のトレーニングであれ、企業は、既存業務を通じてデータの洞察力を高めることができます。
認定資格は、下位の選択肢にとどまっています。これは、データスキルに関する認定資格は、インフラストラクチャやソフトウェア、サイバーセキュリティに比べて少ないということが背景にあります。データ管理と分析の領域が成熟するにつれ、多くの企業が教育戦略を充実させ、スキルを最新に保つための手段として認定資格を導入するでしょう。
また、認定資格は個人にもメリットがあります。競争の激しい雇用市場では、認定資格は自身の技術的スキルを証明するだけでなく、個人の継続教育や自己開発に対する献身を示すものでもあります。組織に属する個人であっても、認定資格はキャリアパスを明確にし、ベストプラクティスの洞察を提供するものです。データ管理や分析の領域では、ベンダーやツールセットの数が増加していますが、さまざまなシナリオに対応することができる基本的な知識への評価も高まっています。
長い間、ITの卓越性は、システムがクラッシュしないこと、しっかりとしたテクニカルサポートを受けられることでした。このような基準はまだ存在しますが、ハードルは上がっています。テクノロジーの最先端を行くには、データ管理と分析に関する効果的なポリシーが必要となります。第一歩は、データフロー(流れ)の理解から。そして課題を認識することで、適切な投資を行うことができます。企業は、適切なスキルを身につけることで、計画を実行し、データがビジネスを導くその先を発見することができるのです。
CompTIA Data+は、データ分析に必要なスキルを評価します。The Official CompTIA Contents(OCC)Study Guide(テキスト)は、2022年10月中旬頃に発売が予定されています。